以前、ジャレド・ダイアモンドの『危機と人類』で紹介されたチリのクーデターによる独裁軍事政権についての記事を書いた。チリは、南米の中でも伝統的に民主的な国なので、そんな国においてこういうことが起きたのだということに多くの人が恐怖を感じたようだ。私はそれに加えて、韓国における文在寅政権に対するクーデターの可能性に触れた。文在寅には、韓国のかなり人々の不満が鬱積しているからである。
しかし、まさかとは思うが、文在寅自身がクーデターを起こす可能性はないのだろうか。これまでの韓国の大統領が、辞任と同時に多くの罪状で告発されて収監という例が多い中で、文在寅が行ったさまざまなこと、特に北朝鮮へのすり寄りは、政権党交代があれば辞任後に罪に問われる可能性はかなり高いのではないかと思う。そうすると、みすみす収監されるよりは武力的赤化統一に賭けてみるというのは彼個人にとって悪い選択肢ではない。
私は、在韓米軍などの配置や諜報活動についてはほとんど知らないし、武力的赤化統一は極めて非現実的なことなのかもしれない。しかし、文在寅が韓国軍の腹心将校を味方につけ、中国あるいはロシアの支援を受けて、北朝鮮軍を韓国に招き入れ、武力的赤化統一を試みたらどうだろうか。もちろんこの北朝鮮軍の動向はつぶさに米軍等に知られるが、少なくとも北朝鮮国内での移動には在韓米軍は手を出せないであろうし、韓国領内に入ってきても青瓦台と韓国軍が招き入れたということになるとやはり攻撃を加えるわけにはいかない。そして、ソウル市民を人質にして武力的赤化統一を図るわけである。文在寅の長年の夢である朝鮮半島の統一を成し遂げ、大統領退任後の訴追や収監を回避できるという、一石二鳥の方法である。ここまで事が運べば、在韓米軍は内政干渉になるのでこのクーデターに対して攻撃を加えることはできない。さらに在韓米軍に助けを求めようとする韓国人は、おそらくそのときに敷かれる戒厳令下での利敵行為として取り締まればよい。これで、とりあえず第一段階はクリアできる。
この武力的赤化統一の成否について、ミャンマーの軍事クーデターは参考になるだろう。ミャンマーでは、海外からの干渉は現時点で無力である。赤化統一のクーデターが成功すれば、在韓米軍といえども内政干渉として手を出せなくなる。また、ミャンマーより有利な点は、ロシアや中国の支援を受けることができるということだ。内政では、この赤化統一に従わないものは主体(チェジュ)思想を歪曲するものとして歴史歪曲禁止法などによって、政敵を次々に収監することができる。歴史歪曲法は、親日家を取り締まる以外にも役に立つ。こうすれば、少なくとも2~30年はこの赤化統一を保てる。まさかこういうことは起きないとは思うが、文在寅個人にとっては悪い選択肢ではないということが気掛かりである。
ジャレド・ダイアモンドの『危機と人類』を読む(2)ーチリ軍事独裁の恐怖
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