この国際法廷は、中国における、囚人からの強制臓器採取の多さから開かれたもののようである。さまざまな資料や証拠から、「臓器が移植可能になるまでの待ち時間が非常に短いと、中国の医師や病院が約束していること」、「法輪功とウイグル人の拷問があったこと」、「蓄積された数値的証拠から、それに見合った数の自発的なドナーが存在することは不可能」という結論を下している。つまり、明確な証拠があったわけではないが、自発的ドナー以外から強制的にドナーがかき集められて移植が行われ、その被害者が、中国当局が禁じた法輪功の信者やウイグル人である可能性が極めて高いというわけである。そして、この件について、国際法廷または国連でのさらなる調査が開始されるべきであり、ジェノサイドとされるかどうかを検証していく義務があることを主張している。
この判決は、海外メディアではさまざまに報じられている。英国の革新系の新聞であるガーディアンも、”China is harvesting organs fromdetainees, tribunal concludes”という記事で報じている。一方で、日本のメディアでは、なぜが大きく報じられていない。日本で記事があるのは、産経新聞や週刊ポストくらいで、その扱いも極めて小さい。週刊ポストの記者は、ウイグルの中心であるウルムチ空港で、「特殊旅客、人体器官運輸通道」という案内があることを見つけ、臓器移植をして欲しい人のための特別なルートがあることを報道している。必要なVIPが来れば、すぐに強制収容所のウイグル人が殺されるという仕組みになっているのだろう。嫌韓報道ということでケチがついた週刊ポストだが、産経とならんで保守系とされている。このような人権どころか人道に反するような記事を、なぜ人権重視のはずの革新系メディアは大きく報じないのだろうか。人権派のはずの文在寅が、アジアで最も人権が守られていない北朝鮮にすり寄る奇妙さと同じものを感ずる。少しはガーディアンを見習ってもらえないだろうか。中国を批判するのは右翼であって、加害の歴史を反省していない人間だという偏見は、そろそろおかしいということを理解して欲しいものである。
過去の関連記事
中国の脅威と人権問題―なぜ日本のメディアは問題視しない?中国とはどうつきあっていくべきなのか
0 件のコメント:
コメントを投稿