しかしこの記事の主題は適応度の問題ではなく、報道のされ方である。元は週間朝日のようだが、そのネットの記事には、「さいたま小4死体遺棄事件 逮捕の義父は母親と“ネット婚”、ヒモ状態だった」というヘッドラインが付けられていた。実際、捜査関係者から「悠介容疑者は、(中略)・・最近は無職という状態が続いていた。普段は主夫でヒモ状態」という証言があり、それを踏まえた上で「ヒモ状態」という表現をヘッドラインに用いたのだろうが、これに問題を感じなかったのだろうか。
私は、差別用語を使わないようにしようという言葉狩りには必ずしも賛成ではない。しかし、「ヒモ状態」という表現は、結婚している無職の男性を明らかに侮蔑的に揶揄したものである。そして、その背景に、「結婚したからには男性は金を稼ぐ仕事をしなければならない」という性役割固定的な価値観がある。一般に、結婚した男性が無職であることに対する世間の風当たりは強い。おそらくそのプレッシャーは女性よりははるかに強く、この固定観念が、男女共同参画における多様性を妨げている。現在、不況やうつなどが理由で、結婚している男性で職について十分なお金を稼いでいない人も多い。「ヒモ状態」は、明らかに彼らを追い詰める表現である。
男女共同参画社会においては、「女性は働かずに家で子育て」という性役割観も矯正していかなければならないが、「男性は外で働いて金を稼がなければいけない」という固定観念も、同じように消していかなければならない。そういうことを、週刊朝日のこの記事を書いた人間は理解しているのだろうか? 理解できていないから使用するのでしょうね。
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