2026年7月19日日曜日

スペインvsアルゼンチンーポゼッションサッカーの復活はなるのか

 2010年のワールドカップ南アフリカ大会で、フェルナンド・トーレスやイニエスタを擁するスペインが、ボールを保持してショートパスを繰り出して相手を崩すスタイルで優勝した時に、私はこれがサッカーの完成形なのかという印象を抱いた。ところが、その後、ハイプレスから縦に速いサッカーが全盛を迎え、ボールを保持しているプレーヤーがプレスを受けてボールを失うと、大ピンチに陥るという問題を抱えて、スペインのスタイル (ティキタカとも呼ばれる) は、絶滅危惧種になるのではないだろうかと思っていた。

 ところが、2024年のユーロ大会で優勝し、さらにこの大会でも自らのスタイルを守り抜いて、ポルトガル、ベルギー、フランスといった強豪をねじ伏せてアルゼンチンとの決勝を迎えることになった。ヤマルという神童が右サイドにいるにしても、今大会のスペインチームを眺めてみて、スター選手は他の強豪にちょっと見劣りする。センターフォワードのオヤルサバルも、得点はあるものの、ゼロトップあるいは偽9番と評されている。それでも、ボール保持で守備は堅く、すばらしいパスワークで相手守備陣を崩す。そして、その中心にペドリがいる。

 不思議なのが、このチームを作り上げたルイス・デ・ラ・フエンテが決してこれまで監督としての評価が高かったわけではないことである。ブラジルのアンチェロッティにしろ、イングランドのトーマス・トゥヘルにしろ、ヨーロッパのビックチームで輝かしい戦績をあげて、その後に代表監督になっている。ところがフエンテは、ビルバオなどの弱小チーム (こういっては失礼だが) をへてスペインの世代別やオリンピックの監督になり、代表監督になって2024年のユーロで優勝監督になった。概して組織力を強化するには、優秀な監督ではないと無理と思われるが、フエンテはすばらしい監督なのだろうか。それとも、スペインの選手は、バルセロナをはじめ、当たり前のようにポゼッション+パスサッカーをやっているので、代表で高度な組織力が生まれるのだろうか。このチームは、敵のハイプレスに対しては速いパスでかわし、ときにはハイプレスから相手ボールを奪って縦に速い攻撃も見せている。スペインサッカーが一段とレベルアップして生き残っている。

 明日の決勝では、アルゼンチンと対するが、おそらくアルゼンチンは、このパスサッカーへの対応を行ってくる。アルゼンチンが守備を固めてカウンターサッカーをするとは思えないが、どのような対応をしてくるのだろう。また、スペインは、メッシに対する万全の備えを行ってくるはずだ。右サイドのメッシに対して、スペインの左サイドはククレジャだが、ククレジャは左サイドを駆け上がるというよりは、しょっちゅう中盤に顔を出してピンチの芽を潰している。どんなマッチアップがあるのか、見ものである。アルゼンチンでは、右サイドのヤマルを止めるキープレーヤーはタグリアフィコだが、おそらくマクアリスターが下がってきてケアをすると思う。マクアリスターを下げさせることができれば、スペインはだいぶ有利になる。こういう個のプレーも見逃すことができない。

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