先日、ニューズウィークの記事に、過去20年間に地球の緑地面積が増大しているというものがあった。中国とインドで増えているようである。インドの場合は耕地としての緑地の増大で、中国の場合は植樹プログラム「緑の万里の長城」などの植樹活動による森林の増大のようだ。中国もインドも莫大な人口を抱えて経済成長途上であり、正直、この両国は地球の環境破壊の大きな不安要因なのではないかと思っていたので、ちょっとほっとするニュースである。
国際規模で環境が守られるかどうかについては、共有地の悲劇を回避できるかどうかに大きく左右される。共有地の悲劇とは、ギャレット・ハーディンが提唱した用語で、牧草などの持続可能な資源を共有するそれぞれのメンバーが自分に最も利益がもたらされるように利用すると、共有資源が枯渇してしまうというものである。水産資源については、つねにこの悲劇を避けるような国際協定が結ばれていると思う。習近平独裁中国は、失礼ながら国際協定の遵守という点で常に懐疑的にならざるを得ないので、環境破壊の不安要素なのである。
今回の中国とインドのこのケースは、共有地の悲劇を避けるというよりは、自然破壊がはっきりと目に見えて現れてきたためだろう。破壊が目に見えてくると、いくら独裁とはいえ、政府も危機感を抱くし、環境保護を国民にも説得しやすい。中国の場合は砂漠化、インドの場合は食糧不足が緑化への原動力のようだ。
熱帯雨林などの自然な森林自体はやはり減少に歯止めがかからないようなので、手放しに喜ぶわけにもいかないようだ。ただ、私自身、地球温暖化は最も大きな環境リスク要因と考えているので、このニュースはちょっとほっとさせてくれる。とはいえ、更新世といわれるこの1万年は、45億年の地球の歴史の中でもっとも温暖で気候が安定した時代である。あと1~2万年もすれば確実に次の氷河期がやって来るだろうから、朗報とはいえごく些細なことなのかもしれない。
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