2017年12月18日月曜日

続おんな城主直虎―続編を熱望


 NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」が終わった。大河の常套である歴史の大きなイベントを中心に据えるよりも、小領主としての苦労や、微妙な人間関係を巧みに描いた異色の大河ドラマであったが、見応えがある一年であった。しかし、やはり歴史的経緯という点からみると、いくらヒロインが亡くなったとはいえ、これから大きな歴史イベントの連続なので、続編をぜひ見てみたいものである。
 大河ドラマの異例の続編があったのは、「新選組!」である。本編では、香取慎吾演ずる主人公の近藤勇は斬首されて、それが最終回であった。しかし、視聴者からの強い要望があったのか、山本耕史演ずる土方歳三を主人公にして、五稜郭で戦死するまでの続編が、次の年に放映された。
 直虎の続編は、本能寺の変から関ケ原、そしてその2年後の直政の逝去あたりまでが時代として丁度よいだろう。その20年足らずの期間は、大河ドラマでは、真田信繁、石田三成、黒田官兵衛、直江兼続、山内一豊、徳川家康など、いろんな人物の視点からすでに描かれているが、徳川の家臣である井伊直政からの視点というのは映画やドラマでもまだなかったのではないだろうか。小田原の陣、奥州における九戸政実の乱などの戦役において、結婚生活において、あるいは城主となった箕輪や高崎での領主としての政治において、いったい菅田将暉演ずる井伊直政がどんな顔を見せるのか、とても楽しみである。また、関ケ原に至るまでの外交官として、関ケ原後の島津との交渉担当としてなど、さまざまなところで歴史の重要な役割を担っている。残念ながら、関ケ原の2年後に41歳で亡くなるが、十分に続編を作成する価値があるのではないだろうか。このような、歴史的イベントをより前面に押し出したドラマは、脚本の森下佳子が書きたいものではないかもしれない。しかし、直虎のスピリットがどのように直政やその後の井伊家に影響したのかという視点で描いてもらえれば、おそらくおもしろいものになるのではないだろうか。
 続編の配役として、これまで、秀吉や三成を好演した俳優を起用して欲しいなと思う一方で、本編ですでに亡くなった人物を演じた俳優をリバイバルさせるのも面白いかもしれない。三成役には、ぜひ高橋一生さんをお願いしたい。正義を論じながら、家康や直政の前に次々に立ちはだかって邪魔をするという役柄にはぴったりではないか。また、柴咲コウには、北政所を演じて欲しい。阿部サダヲ演ずる家康と平和への価値観を共有し、今後の歴史の指針を示唆する役としてうってつけだと思う。井伊の赤鬼と呼ばれた直政の正室の花役には、菜々緒を希望する。実は菜々緒には全体的に何か物足りないものを感じたが、「鬼嫁」つながりは捨てがたい。関ケ原で直政を負傷させた島津惟新には、杉本哲太に演じて欲しい。「翔ぶが如く」で、中村半次郎(桐野利秋)を演じた杉本哲太の薩摩弁は今でも耳に残っている。また、もし登場させるならだが、第15代将軍足利義昭には、政次の父の政直を演じた吹越満をお願いしたい。私には義昭というと吹越さん以外に思い当たらない。最後に、豊臣秀吉には、3人の候補がいる。不気味に家康に立ちはだかるキャラクターなら太原雪斎を演じた佐野史郎、ひょうきんでサルのような人たらしなら中野直由を演じた筧利夫、そして大穴が山本學である。山本學の秀吉、どこかで一度見てみたいものだ。
 ストーリーがわかっている大河ドラマのどこがおもしろいのかとよく言われることがあるが、こういう妄想をかきたてながらあれこれ考えてみるのも、大河の一つの楽しみ方なのではないかと思う。

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