2月8日に行われた衆議院選挙において、自由民主党がなんと衆議院議席の3分の2を確保するという地滑り的勝利を収めた。事前の世論調査においてある程度は予測できていたかもしれないし、小選挙区のマジックもあるとは思うが、改めて驚いている。これは高市氏の政策の訴えが功を奏したのだろうか、それとも野党の自滅だったのだろうか。
当初、私は、国粋主義的な思想が見え隠れする高市氏にはあまり期待していなかった。他国に歴史修正主義者とみなされると、日本にとって著しく不利になるからである。それが、少なくとも韓国や米国、東南アジア諸国やオーストラリアなどととくに大きな軋轢を生むこともなく、快調に滑り出した。
しかし、「台湾有事は日本の有事」発言によって、中国との関係は著しく悪くなった。もちろんこれによって高市氏を非難する人もいたが、多くの国民にとって、中国共産党が支配する中国はまともな国ではないという印象が強くなった。もちろんこれまでも、ウイグルでの人権侵害、香港での民主化運動の弾圧、南シナ海での覇権的軍事活動、経済力と軍事力による戦狼外交など、そういう情報は入っては来ていた。しかし、日本に対して、経済的相互依存を武器に使用したり、中国からの日本への渡航を自粛させたりと、直接日本人が体験するとそのヤバさが実感できるのだろう。さらに、渡航を自粛させるのに、「日本において中国人を狙った犯罪の多発」という国家ぐるみのフェイクニュースが流されているのを見ると、多くの日本人は、この国はまともな国ではないと確信するに至ったわけである。
そうすると、嫌だなと思いながら、安全保障については防衛費の増強は仕方がないという判断になる。今までは米国の安全保障でなんとか抑止が可能だったが、トランプ政権があまりあてにならないとなると、自ら守る姿勢を見せざるをえない。一方で、共産党や社民党は防衛費を増やすのではなく、外交で他国との戦争を起こさせないと主張している。しかしその「外交」の中身は、ASEAN型包摂的枠組みの構築や東アジアサミットの強化、および中国に対して、軍事的対抗ではなく、過去に両国政府が合意した「共通のルール」に立ち返るよう求めることだという。このようなお寒い外交で、本当に彼らは、中国の軍事的威圧を止めることができると思っているのだろうか。対外的威圧によって支持者の快哉を受けて独裁を保っている政府が、この方法で軍事的威圧を止めるとは考えにくいし、それが戦争になる可能性は、ロシアのウクライナ侵攻を見れば明らかであろう (日本にとってもロシアは非常に近い国なのだが、ウクライナで行き詰った時に極東に第二戦線をつくる可能性は、完全には否定できない)。
共産党や社民党、あるいはリベラルを自称する識者は、防衛力の強化に対して、「軍靴の足音が聞こえる」とか「いつか来た道」などの、ポエムのような反対をしばしば行う。しかし、防衛力を強化しないという戦略と、防衛力を放棄するという戦略では、軍事的威圧の独裁国に接している状況で、確率的にどちらが戦争が起きやすいかは一目瞭然なのではないだろうか。私も、防衛力の強化に予算が割かれるのも、ヨーロッパ諸国で模索されている徴兵制復活も嫌だ。しかし、戦争ももっと嫌だし、無抵抗で独裁国に主権を奪われるのはもっと嫌だ。
自由民主党の地滑り的勝利の要因はこれだけではないが、安全保障の問題は十分に影響しただろう。しかし、それにしても、積極財政で国の債務が1342兆円になるらしい。これで、なんとか強い産業が育ってくれればよいのだが、経済をいじるだけでは問題を先送りするだけになる。
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