2019年8月13日火曜日

跳び箱パンー大阪市立大学オープンキャンパス


 810日と11日に、大阪市立大学の杉本キャンパスでのオープンキャンパスが行われた。私たちが高校生の頃はこのようなイベントはなかったし、前任校で積極的にオープンキャンパスをやり始めたころは、私自身かなり批判的だった。学園祭のようなノリも好きになれなかったし、わざわざ夏休みに受験生にそんな活動に時間を割かせるのに罪悪感を抱いていた。それよりも、高等学校の3年生くらいで、「自分のやりたいこと」といって、自分の方向性を狭めてしまうのもどうかなと懐疑的だったのである。

 しかし、昨今はオープンキャンパスも花盛りとなり、受験生集めに必死な私立大学のみならず、多くの大学において高大連携の一環としても、奨励されているようだ。大阪市立大学の心理学教室でも心理学実験を体験するコースが人気のようで、悪い気はしない。

 さて、このオープンキャンパスの人気商品の一つが、「跳び箱パン」である。大阪市大を卒業された方が経営されているパン工房で作られているようで、跳び箱の形をしたなかなかユニークなものである。大阪市大のオープンキャンパスでは、苦難を、跳び箱を越えていくように乗り越えようという趣旨で、何名かの教員が、座右の銘であるとか、受験生へのメッセージが書かれた跳び箱パン販売という企画があった。

 私もこれに参加し、「最悪を想像し、それが思っているほど悪くないということが分かれば、世の中に怖いものはない」というメッセージを寄せた。これは、私がこれまで何回か苦難を経験した時に試みたものである。受験生のときに、第一志望の大学の入学試験直後にまず行ったことは、予備校の願書やパンプレットの取り寄せだった。某予備校のパンフレットを眺めながら、「予備校生活も楽しいかも」と落ちた後の心のケアを未然に行っていた記憶がある。幸い、現役で合格したので、予備校生活は未経験となった。

 最大の苦難は、今から18年前の悪性リンパ腫の闘病である。幸い、比較的抗がん剤が効くタイプといわれていたので、そのときの考えられうる「最悪」は、治療でいったんは腫瘍は叩けても再発を繰り返すというものだった。そのときに抱いたのは、最悪でもなんとか45歳くらいまでは生きらるのではないかという望みである。そして、それならば、そのときにやり残したと思っていたことができるだろうと、ほっとした気持ちになったことを覚えている。

 幸い、今年還暦を迎えることができたが、やり残していることはまだまだ多い。

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