色の好みとパーソナリティは何らかの関係があるかもしれないという問題は、いくつかの古典的な研究がなされており、現代でもときどき論文が発表されている。覚醒水準と関係していると示唆されていたり、色から連想するものが何なのか、さらには連想された対象への好みがパーソナリティに関係していると推定されていたりしている。また、赤への好みと敵意性の強さを指摘した論文もある。しかし、安定した結果は得られておらず、それが、カラーパッチ等を用いたパーソナリティテストが標準化されない理由になっている。赤から、好きな人がよく着ている服の色を思い出せば好きと答えるかもしれないが、流血事件のニュースを見た後では嫌悪感をもたらすかもしれない。
このカラーコーディネーターは、そういうことを勉強したのだろうか。たぶんしてない。ただ、バーナム効果はどこかで勉強したフシがあり、診断の文章に利用している。バーナム効果とは、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学的現象で、とくに、「あなたは快活だが、不安も感ずる」のように、肯定的な側面と否定的な側面を織り交ぜると「当てはまる」と判断されやすい。血液型性格テストなどにおいても、「当たっている」という幻想を与えるメカニズムである。この色彩テストでは、たとえば、ある色彩パターンを好む人は、「人情を重んずる温かい人柄、自分の考えを曲げない頑固な一面、独立心旺盛、周囲の空気を読めなくて独断的」と書かれている。まあ、これなら9割以上の人は「当たっている」と感じるかもしれない。
願わくは、この作者に科学的な心理学を学んで欲しかった。もし学んだ上で敢えてこういう商業主義に利用しているとすれば、置き忘れた良心を取り戻しに行って欲しい。
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