北朝鮮については、本当に核を放棄するのかとか、拉致被害はどうなるのかなど、問題は山積みである。私は、統一が本当に可能かどうか、もし統一されるとするとどんな形での統一がありうるのかを思案してみた。比較されるとすれば、旧西独と旧東独の統一である。この統一は、統一と呼ばれつつも事実上は旧西独による旧東独の併合だった。旧東独のホーネッカー書記長は、冷戦犯罪については訴追を免れたものの、最後は亡命生活を送り、亡命先のチリで死んでいる。また、統一にあたって、多くの旧東独の人たちが職を失った。
北朝鮮と韓国の統一がなされた場合、文在寅はどのような経済的支援を金正恩に約束しているのか、さらには実際にはどの程度の支援が実施されるのか予測はつかない。問題は金正恩の処遇であろう。金正恩には、ホーネッカーと比較しても、政治的独裁者としての犯罪は計り知れない。強制収容所の政治犯とされた人たちはすぐに解放されるのだろうか。彼らへの迫害の責任はどうなるのだろうか。あるいは脱北を試みた人たちの殺害の責任もある。これらを考慮すると無事では済まされないはずだが、まさかそれを金正恩が納得した上で会談を行ったり統一の可能性を検討したりしているとは思えない。
金正恩がなぜ統一を視野に入れた会談に応じたのか。もちろん、経済制裁や強権的独裁によって、金正恩自身の命の危険性が高まり、命さえ助けてもらえるならありがたいと応じた可能性もある。しかし、私の妄想だが、もう一つの可能性として考えられるのが、金一族の特別待遇である。金の家系は、抗日独立の最功労者であるとし、天皇あるいは貴族のような位置に置くわけだ。そして、ちょうど日本の天皇が戦争責任を問われなかったように、金正恩にも政治的犯罪を不問にするという筋書きを作るわけである。文在寅なら、これくらいのことは言いそうな気がする。しかし、それで金一族に欺かれていたと気がついた北朝鮮国民が納得するかわからないし、国内的にも国際的にも、政治犯とされた人々への迫害や、拉致などの罪は許されないはずである。で、その最悪のシナリオは、これらの罪をすべて末端の人々にかぶせてしまうことだ。北朝鮮情勢に精通しているわけでもない素人の妄想だが、ちょっと真実味がないだろうか。
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