2018年3月8日木曜日

ハニートラップとセクシャルハラスメントーああナルシスト

 鈴鹿久美子氏が、政治家にハニートラップに代表される異性関係のスキャンダルが多い理由をある番組で語ったという記事があり、その番組は見ていないが、なかなか的を得た指摘だった。鈴鹿氏によれば、そのテの人種は、「東大入ったらモテるようになるんじゃないか」、「官僚になったらモテるようになるんじゃないか」、「政治家になったらモテるんじゃないか」という期待をしながら努力を重ね、うっかりモテてしまうと、若いころにモテなかった反動からハニートラップに引っ掛かりやすいとなる。

 まあ、私も「〇〇大学に入ったらモテるようになるんじゃないか」「研究者になったらモテるんじゃないか」と期待していた同族人種なので、偉そうなことは言えないが、大学でセクシャルハラスメントを起こす教員にも似たようなことがいえると思う。加えて、セクシャルハラスメントを起こした人に、自己愛性格、つまりナルシストが多いという印象は強い。

 現在、ナルシストの特徴として、顕在的自尊心は高いが潜在的自尊心は低いということが言われている。顕在的自尊心が高いということは、意識の上では、自分が価値ある人間であると信じられるわけである。しかし、潜在的自尊心が低い、つまり無意識的には自分には価値がないと思っていると、その不安は自己評価を行うときに常につきまとうことになる。そうすると、自分の価値を高めてくれるようなこと、たとえば、女子学生や女子院生から「〇〇先生、すごいですね」と言われると、彼女らには愛だの恋だのという意識は全くなくても、簡単に彼女らが自分に恋していると信じ込んでしまう。そして、セクシャルハラスメントを起こしてしまうのだ。大学におけるセクシャルハラスメントはハニートラップとはまず無関係だが、ハニートラップにひっかかる政治家と同じようなことがいえるのではないだろうか。

 ナルシストは、フロイトのいう男根期への固着とも説明されるかもしれないが、顕在的高自尊心・潜在的低自尊心概念で説明すると、鈴鹿氏の指摘する生育歴とも一致する。つまり、若い頃のあまりモテていなかった自己像が、社会的地位によってチヤホヤされるようになって少しは修正されてくるのかもしれないが、潜在化した昔の自己像の上に、顕在的高自尊心がのっかったという危うい人格が形成されてしまうわけである。

 セクシャルハラスメントを引き起こすナルシストは、アカデミックハラスメントも起こしやすい。「こんなに偉いボクをどうして好きにならないの? 好きにならないのは、あなたに問題があるからだよ」とアカデミックハラスメントに突っ走ることになる。自分が好きな女子学生・院生にはセクハラ、嫌いや女子学生・院生にはアカハラという、非常に「わかりやすい」教師になってしまうのだ。

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