日本の韓国に対する半導体輸出規制が発表された。2004年から日本は韓国をホワイト国としていたが、戦略的物資の管理が不透明ということでホワイト国から除外ということのようだ。これが、徴用工訴訟での差し押さえに対する報復なのか、戦略的物資が北朝鮮やイラン等に密輸される可能性があるということからなのかはわからない。あるいは、昨年のレーダー照射など、あたかも日本を仮想敵国としているかのような行動をとる国をホワイト国指定はとんでもないという意見に後押しされたのかもしれない。
今回の措置が妥当なのかどうかについて、私は文在寅の奇妙な北朝鮮へのすり寄りから60パーセントくらいは賛成だが、確実な判断というわけではない。ただ、国際的な分業による人類全体の繁栄のためにはグローバル化が必要という視点から見れば、諸手を挙げて賛成というわけではない。
これまで、韓国では、日本を擁護するような意見を述べると、「親日」として非難を浴びるということが多い。擁護どころか、日本批判派の歴史的な誤りを正そうとして吊るしあげられた学者もいる。しかし、文在寅が大統領になってからの、不毛とも思える積弊清算という名のもとの「親日」狩りについては、さすがに韓国内でもこれを批判する声が出始めている。
私は、韓国語はわずかに読める程度なので、ネットの日本語版で読んだものなのだが、文に最も批判的な朝鮮日報の2つの記事を紹介したい。1つは、ホ・ウソン慶煕大学名誉教授によるもので、韓国が、日本帝国主義下の植民地支配についてもうすこし寛大になれないかというものである。彼は、「1950年の中国によるチベット侵略以降これまで続いている占領と弾圧は、大日本帝国による朝鮮統治よりも残忍に見える」と述べ、さらにダライ・ラマ14世の言葉を引用する。ダライ・ラマは、ノーベル平和賞受諾演説において、彼は中国の圧政は批判しつつ、「私は抑圧者と友人を含むわれわれ全てのために、人間的な理解と愛を通してもう少し良き世界を建設することに、われわれが共に成功できるよう祈ります」と述べたようだ。つまり、ダライ・ラマのこの言葉から、反日的な姿勢や、親日狩りをいましめているのである。
もう1つの記事は、イム・ミンヒョク朝鮮日報の論説委員によるものである。この記事では、韓日国交正常化交渉におけるキム・ジョンピル(金鍾泌)元首相の、1965年に韓日基本条約を締結したときの、「民主主義の恩恵を受けるにはまず経済建設」という信念が紹介されている。そして、この韓日基本条約で結ばれた四つの協定の一つが請求権に関するものだったということを明記している。さらに、韓国政府はこれによって日本から「無償3億ドル(現在のレートで約320億円)、長期低利2億ドル(約220億円)相当の物資を受け取り、韓国の輸出総額が年間2億ドルにも満たなかった時代に、この資金によって浦項製鉄ができ、京釜高速道路などが建設されたと述べている。
韓国の反日の歴史において、これまではこのような事実がほとんど国民に報道されてこなかった。そして、植民地時代にひどいことをして謝罪しないという言説が独り歩きしているという状態だった。そうしたことから、この朝鮮日報の2つの記事を書くのは、勇気が必要だったのではないかと思う。もちろんこれらの記事は韓国国民向けなのかもしれないが、嫌韓に染まった日本人も、今回のホワイト国除外に100パーセント賛成という人も、こういう記事を書く人もいるのだということを知って欲しい。もちろん、韓国の反日一色の人たちにも、このような事実を知って欲しい。そして、両国が相互理解に向かうことができればと願っている。